お酒の神様・三大神社

松尾大社の鳥居の写真

今年も早いものでもう10月になりました。

日本では旧暦の10月は神無月とも呼ばれることは、ご存知のとおりです。

“かみなづき(かんなづき)” の語源は正確にはわからないようですが、“神の月” を語源としているとも、10月は全国の神様が出雲大社に集まって翌年のことを話し合うため、出雲大社以外には神様がいなくなる月ということから神無月と呼ばれる(逆に出雲では神在月と呼ばれる)とも言われています。

またその他にも、雷のない月で “雷無月” とする説や、なんとお酒に関係するところでは、新穀で新酒を醸す月で “醸成月” (かみなしづき)を語源とする説などもあるようです。


さて、神様が集まって話し合いをする10月。今年獲れた新米で、いよいよお酒の仕込みが始まる時期でもあります。

今回は、酒づくりの神様についてご紹介します。


酒づくりの守り神の三大神社

お酒の神様といえば、よく聞かれるのは松尾様。お酒好きの方なら名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。

お酒にまつわる神様を祭った神社として、特に酒造家から信仰をあつめているのが、松尾大社、大神神社、梅宮大社の3つの神社です。


お酒の神様 “松尾様” 「松尾大社」(京都府)

松尾大社の写真

松尾様として知られる松尾大社は、京都市西京区嵐山宮町にあります。

大宝元年(701年)、当時京都盆地の西部一帯を支配していた豪族の秦氏により創建されたといわれる、古くからある神社です。秦一族は酒づくりの技術に優れていたといわれ、それが醸造祖神として信仰される所以ともいわれています。
松尾大社と縁の深い狂言「福の神」でも『松尾大神は酒奉行(醸造祖神)』として書かれていて、狂言の書かれた室町時代末期頃から、もうすでにお酒の神様として信仰されていたことがわかるとのこと。

社殿の背後には、松尾山からの湧水の泉「亀の井」があり、この水をお酒に混ぜると腐敗しないといわれ、酒造家が持ち帰る風習が今も残っているそうです。

松尾大社 亀の井

松尾大社では、酒づくりの始まる季節、毎年11月の上の卯の日に醸造祈願祭(上卯祭)、4月の中の酉の日に醸造感謝祭(中酉祭)が行われます。(*)
この日は、全国の醸造業・卸小売の関係者が集まって、醸造安全のお祈りと醸造完了の御礼をするそうです。
(*) 卯の字は甘酒、酉の字は酒壺を意味しているといわれ、酒造りは卯の日に始め、酉の日に完了する慣わしに由来するとのこと。

神輿庫に積み上げられた奉納の菰樽の山は壮観! また、全国に建てられた松尾神の分社も千社以上にのぼるとのこと。お酒の神様 松尾様への信仰の篤さが窺いしれます。

杉玉の発祥「大神神社」(奈良県)

大神神社の写真

日本最古の神社といわれる大神神社(おおみわじんじゃ)は、杉玉の発祥としても知られています。「三輪明神」と呼ばれていましたが、明治時代に「大神神社」と改名されました。

大物主大神(おおものぬしのおおかみ)が鎮まる神の山として信仰されてきた「三輪山」をご神体としています。奈良盆地を囲む山々の中で、ひときわ円錐形が美しい山だそうです。
大物主大神は、稲作豊穣・疫病除け・醸造などの神様で、日本書紀に『大物主神のご神助により会心の美酒を造ることができたと詠われた』との故事があり、酒造りの神として敬われることになったといわれています。

大神神社 大鳥居の写真

大神神社では、例年11月14日に、醸造安全祈願祭(酒まつり)が行われ、全国の酒造家・杜氏などが参列し、新酒の醸造安全をお祈りします。
この祈願祭の前日には、拝殿の大杉玉が青々とした新しいものに取り替えられます。
(大杉玉の大きさは、なんと直径約1.5m、重さ約200Kgとのこと!)

大神神社の大杉玉

また、酒造家には「しるしの杉玉」(三輪山の神杉で作られた小型の杉玉)が授与され、新酒ができたしるしとして軒先に吊るされます。これが各地の造り酒屋での杉玉の風習になっていったとのことです。

子授・安産でも名高い「梅宮大社」(京都府)

梅宮大社の写真

最後にご紹介するのは、京都市右京区にある梅宮大社(うめのみやたいしゃ)。
酒造の守護神とされる酒解神(さかとけのかみ)、酒解子神(さかとけこのかみ)を主神としてお祭りする神社です。松尾大社とは、桂川を挟んで1Kmほどの距離にあります。

酒解神は別名を大山祇神(おおやまづみのかみ)といい、酒解子神(木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと))の父神にあたります。
日本神話に、『木花咲耶姫命が燃えさかる火の中で無事に子を産んだことを大山祇神が喜び、狭名田の茂穂で天甜酒(あめのたむさけ)をつくり神々にお供えになった』とあり、これが日本酒醸造の始まりとされているそうです。
大山祇神を酒解神、木花咲耶姫命を酒解子神と呼び、酒造の祖神とされるようになったのは、この神話が所以とのこと。

松尾大社と同様に、11月上卯の日に醸造安全繁栄祈願祭(上卯祭)、4月中酉日に献酒報告祭(中酉祭)が行われます。
また、2月には甘酒祭が行われ、酒づくり最中の酒造家から奉納された酒粕を甘酒にしてお供えし、酒造業の安全繁栄と氏子が無事に春を迎えられるようお祈りするそうです。


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以前、ある酒蔵さんを見学させていただいた際、蔵の入り口だけでなく、蔵の中のあちらこちら、酒づくりの器材にも松尾様のお札が貼られていて、とても驚いたことがあります。

日本酒が神事と根強い関係があるのはもちろんですが、データを分析して醸造するようになった現在でも、季節や天候と寄り添って行われる酒づくりと神様とは切れない関係なのだなと感じた時でした。

お酒の神様の3つ神社。
機会があれば、足を運んでみてはいかがでしょうか。


いつも楽しくWakuWakuを忘れずに。
そんな時間のお供をしてくれるお酒にも感謝して、今晩もカンパイ!!