あらためて、「日本酒」とは?

日本酒利き酒用のおちょこの写真

和食ブームなどにより、近年、世界的にも注目を集めている「日本酒」。

私たちも「日本酒美味しい!」「日本酒いいね!」などと言っているけれど、「日本酒」の定義とはなんなのでしょう? 日本で昔から飲まれてきたお酒? お米からつくられたお酒?

今回は少しあらためて、「日本酒」の定義や種類について整理してみます。


酒税法における「日本酒」

酒樽の写真

まずは「酒税法」での定義から。

酒類に関する包括的な法律である酒税法では、日本酒はどう分類されているのでしょうか? 酒税法では、お酒は大きく4つに分類されていて、日本酒は、醸造酒の中の「清酒」に該当します。

 <酒税法でのお酒の分類>

  • 発泡性酒類:ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類(アルコール分が11度未満のもの)
  • 醸造酒類 :清酒、果実酒、その他の醸造酒
  • 蒸留酒類 :焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ
  • 混成酒類 :合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒

そして、「清酒」については、同じく酒税法で次のように定められています。(第三条七号)

『次に掲げる酒類でアルコール分が二十二度未満のものをいう。
イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
ロ 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品(*1)を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の百分の五十を超えないものに限る。)
ハ 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの』
(*1)アルコール、焼酎、ぶどう糖、その他財務省令で定める糖類、有機酸、アミノ酸塩又は清酒

簡単に書くと、『米・米こうじ・水(および定められた範囲内での物品)を原料として発酵させて、こしたもの』ということになります。

昭和の頃に多く出されていた「増醸酒」など原料の割合が規定以上のものや、“こしていないもの” は、「清酒」には含まれません。

地理的表示としての「日本酒」

日本酒の地理的表示GIの写真

また、「日本酒」は、国税庁から国レベルの地理的表示(GI:Geographical Indication)として、2015年に指定されました。

「日本酒」の価値を守ることが目的で、これによれば、『原料の米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒のみが、「日本酒」を独占的に名乗ることができる』とされています。
(地理的表示「日本酒」の指定について、国税庁、平成27年12月
 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/minaoshi/pdf/chiritekihyoji.pdf )

つまり、海外産米を使った清酒や、海外で醸造した清酒は「日本酒」とは表示できない、ということになります。

『スコットランドで作られたウィスキーのみが “スコッチウィスキー” と表示できる』という考え方と同じで、海外輸出も盛んな日本酒のブランド価値を維持するために必要な対応ということでしょう。

でも、現在、海外でSAKEづくりをしている酒蔵さんも数多くあります。“Japanese Sake” を名乗ることはできませんが、アメリカを始め、イギリス、フランス、カナダなど、30蔵以上にのぼるようです。

「どぶろく」や「甘酒」は日本酒?

にごり酒の写真

では、お米が原料で、昔から日本で飲まれている「どぶろく」や「甘酒」は、日本酒のうちなのでしょうか?

清酒は、始めに書いたとおり、『米・米こうじ・水を主な原料として発酵させて、こしたもの』。

お米から作られていても、「どぶろく」は “こされていない” ので、日本酒には分類されません。日本酒でよくある「にごり酒」や「うすにごり」はお酒をこすときの粗さによるもので、どぶろくとは異なり、こちらは清酒に含まれます。

また、甘酒は、“米麹から作られる甘酒” と “酒粕から作られる甘酒” がありますが、米麹の甘酒はいわゆるアルコール発酵前のものですし、酒粕の甘酒は清酒を絞った後の酒粕から作られますので、ご存知のとおり「清酒」とは異なります。
(そもそも甘酒はアルコール度数が1%未満となるため、酒類にも含まれず、清涼飲料水の規格で販売されるのが通常です)


日本酒の酒類:特定名称酒とは?

特定名称のお酒の瓶の写真

日本酒の定義をあらためて確認したところで、その種類についてもみてみたいと思います。

吟醸酒、純米酒、本醸造酒といった種類を聞いたことがあると思いますが、これらは、お酒の品質を消費者がわかりやすくなるよう、「清酒の製法品質表示基準」として国税庁より1989年に制定されたものです。これにより、原料や製法が一定の基準を満たすものは、“特定名称” を表示できるようになりました。

特定名称酒は、原料や製法等の違いによって、次の8種類に分類されます。

特定名称酒の8つの分類の表

“特定名称酒” に入らないものは?

当然ですが、特定名称酒が日本酒のすべてではありません。特定名称酒に分類されないもの(特定名称の条件を満たさないもの)も、もちろんたくさんあります。

こうじ米の使用割合の条件を満たさないもの、本醸造のつくりでも精米歩合の高いものなどは、「普通酒」と表示している酒蔵さんも多いです。

また逆に、特定名称上の条件を満たしていないけれど、凝ったつくりのお酒の場合もあります。貴醸酒などは代表的な例です。また、精米歩合が50%以下で山田錦を使っていても、あえて等外品のお米を使った場合もこれに当てはまります。


大吟醸酒が一番上等なお酒なの?

“特定名称酒” で比べてみると、お米を多く削った吟醸づくりの大吟醸酒の方が、高級で美味しいお酒なのでしょうか?

たしかに一般的には、吟醸酒よりも大吟醸酒が、純米酒より純米大吟醸酒の方が高額な傾向にあるのではないかと思います。お米を多く削るため、そのぶん原料費がかかったり、醸造の期間が長くなることがその主な理由だと思われます。でも、お酒の味はもちろん人それぞれの好みですし、生酛づくりや貯蔵方法の違いなど、特定名称の条件にはないところで、手間暇をかけてつくられるお酒もあります。

そういった背景から、あえて “特定名称” を表示しない酒蔵さんもあるようです。「精米歩合を表示しない」、「純米大吟醸酒と表示できるものであってもシンプルに “純米酒” とする」など。特定名称の表示だけに引きずられることなくお酒を選んでほしいという酒蔵さんの思いを感じます。

特定名称が表示されていることで、原料に何が使われているのか・どのようなつくりなのかをざっくり把握しやすくなっているのは確かですが、一方で、個性ある酒づくりしている酒蔵さんも増えてきて、“特定名称” だけでは表せないお酒の特徴・種類も出てきているのではないかと思います。


いずれにしても、“特定名称” だけに拘らず、いろいろなお酒を飲んでみて、味わいの違いを楽しんでみること、その中から自分の好みのお酒や酒蔵さんを見つけていくこと!、に尽きるのかなと思います。

おうち飲みの多い最近、いつもと違ういろんなお酒を飲み比べてみてはいかがでしょうか?


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いつも楽しくWakuWakuを忘れずに。
そんな時間のお供をしてくれるお酒にも感謝して、今晩もカンパイ!!